〈 [題字] 福岡県太宰府市 直野あずさ 〉
千年後の日常を
一緒につくってみませんか?
「くすかき」は太宰府天満宮の樟の杜を舞台に千年続くことを目指す参加型アートプロジェクト。毎年、春になると落ちてくる大量の樟の落ち葉を掻いて、かつて存在した千年樟を皆で協働し描き出します。樟の落ち葉掻きをすることで、人と人、人と土地の記憶をつなぎ、千年という時間に想いを馳せる朝を一年に一度、皆で迎えます。
見えないものを感じる
毎年四月、樟の杜を形成する巨大な木々は一斉に若葉を芽吹かせ、古くなった葉っぱは、絶え間なく地上に降りそそいできます。お宮の方々は幾世代にもわたって、その葉を掻いて、新芽を見上げ、樟の木と向き合ってきました。そんな境内の天神広場には、今日の樟の杜を形づくる巨大な木々と同様に長く大事にされてきた、樹齢千年ともいわれる一本の樟の木(※)が存在しました。
「くすかき」は、この地で千年続く樟の落ち葉を“掻く”という毎日の行為を通して、人々が出会い、語らう場をつくり、会期最終日「くすのかきあげ」に集まった掻き手によって、かつて存在した千年樟の姿を“描き”出そうという試みです。それは“目には見えないもの”“見えないけれど大切なもの”を感じるという、日本人が元来持っている特有の感性のあり方を伝えていく、年に一度の出会いと再会の場となっています。
※天神広場にあった千年樟(16号木)は参拝者の増加による地固めや酸性雨の影響で1994年に枯死した。
お知らせ
- 2024.3.2
- [お知らせ]
第十五回目となる「くすかきー太宰府天満宮ー」が始まります。会期は3月23日(土)〜4月13日(土)
五十嵐 靖晃
プロフィール
アーティスト。
人々との協働を通じて、景色をつくり変えるような表現活動を各地で展開。代表的なプロジェクトは《くすかき》(2010~)のほか、《そらあみ》(瀬戸内国際芸術祭2013・2016・2019)、《雲結い》(北アルプス国際芸術祭2017)、《時を束ねる》(南極ビエンナーレ2017)など。また、東京2020オリンピック・パラリンピック公認文化オリンピアード「TURN」プロジェクトメンバーとして「TURNフェス」(東京都美術館/2016~2021)、「TURN in BRAZIL」(ブラジル/2016)、「TURN in BIENALSUR」(ペルー/2017)に参加した。